笑顔の向こう側

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合コン当日。 人通りが多い繁華街の隅には集合場所に歩きでむかう雄奨と卓志の姿があった。 『いやぁしかし相変わらず雄奨はやる気ない恰好だね』 卓志は苦笑しつつ雄奨に毒づいた。 『しょうがねぇべ。オシャレのオの字もわかんねぇんだし』 雄奨は上は灰色下は黒のやけにバカデカイ、スウェット姿だった。 別に服が買えない程の貧乏ではない。 女に近づかれない為でもない。 ただ……ただ雄奨は本当にオシャレを知らないだけなのだ。 『まぁ似合わないオシャレして気合い入ってますアピールのほうがダッセェからな』 卓志は上手くフォローしそして煙草に火を着けた。 集合場所は駅近くの居酒屋。 さすがに金曜日ともなると人が溢れかえっている。 目印のコンビニの前に行くと一人の男がこちらに気付き歩み寄ってきた。 『遅いよ!二人とも。もう始める所だったよ』 凄い剣幕で怒ってるのは今回の主催者、松木和正である。[まつきかずまさ] 『ワリィ道に迷った』 別に申し訳なさそうな顔もせずそう言うと和正は 『もういいよ。こっち』 と二人を会場へ案内した。
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