笑顔の向こう側

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『それにしても暇だなぁ。暇ってのはあまり良くないな。いろんな事考えちゃうからね。…こんな時は』 一人でブツクさ呟くと雄奨は置いた電話にまた手をかけた。 電子音が電話の奥でなり響く。 『はい』 受話器の向こうから聞こえてくる大人っぽい女の人の声を聞くと雄奨はテーブルの上の煙草に手をやり一本取り出すと火を着けた。 『今何やってる?暇?暇でないなら別にいいんだけどさ』 『暇だよ。何もしてないしね。何ぃ?また一緒に飲もうって話でしょ』 『正解。飲も。一人より二人貴方に一杯私に一杯ってな。そういう事だから待ってるよ姉御』 姉御と呼ぶその女性が <今から行く> と言うのを聞き、電話を切った雄奨は部屋を見渡した。 『レディを呼ぶにはあんまりにも汚ねぇな。こんな部屋じゃあ姉御に失礼だ。片付けっかな』 そう言うとそそくさと片付け始めたのだった。
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