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號はふと声のする方を見上げた。
號「!!」
声の主の異形ぶりに思わず言葉が漏れた。吃(ども)りながら。
號「ちょっ!ちょっと、誰かっ!」
?「フッ。無駄だ…お前以外には見えないかつ声も聞こえない。」
號「なっ!!」
?「で?お前、憎しみを抱いているな?怨んでいるな?」
號「そ、そんなこと君に何の関係があるっていうんだ?」
?「フ…憎んでいるのだな?」
號「い、いずれにせよ、君はいったい何なんだ?!」
電柱に聳(そび)えるは恐気の悪魔。
悪意で全てを支配する。
悪魔「フッ…俺は悪意の全て、殺したい者を殺し、人間を苦しめ、傷つけ、時には人間の怨み憎しみに手を貸してやったりもする…悪意、いや、全ての頂点に立つ存在…悪魔だ。」
號「悪魔?!!」
困惑する號…。
悪魔「そんなに驚くな。見たことはなくても聞いたことはあるだろう?」
號「う、うん。」
悪魔「それでだ!その怨み、憎しみ…発散したいと思わないか?」
號「うん、こんな嫌な気持ち、早く解放されたい!」
憎しみの強さのあまり、悪魔に答えてしまった號。
悪魔「お前が怨んでる奴ら…今現在の最も怨んでるのは三人。お前の怨みを晴らす方法はただ一つ…そいつらを殺すことだ。で…殺したいんだろぅ?そいつら。」
號「…。」
悪魔「殺したいんだろう?」
號は静かにうなずく。
悪魔「だよなぁ!ただ自分等の気を晴らすためにお前を苦しめてきたんだもんなぁ!死んで当然だ!!ま、生きて当然なんて人間もいねぇから誰を殺そうが俺には関係ねえ!命乞いする奴なんざじわじわと苦しめながら殺す。クックックッ。」
號は怯えなら聞く
號「それで、悪魔は、僕に怨み憎しみがあるのを知って、僕があいつらを殺したいことを知って…一体僕に何をしたいっていうんだ?」
悪魔「フッ!」
悪魔は、黒い翼をはばたかせ電柱から降り、號の目前で浮遊する。不気味な笑みを浮かべながら…。
號は鼓動が高鳴りながら言う。
號「な、なんだ!…僕を、殺すのか?」
悪魔「冗談言うんじゃねぇよ!なぜ他のたかが人間に傷つけられたお前を俺がこの手で息の根を止めねばならんのだ?!そんなものはただの茶番だ!」
號「じゃあ、どうする気…。」
悪魔「…殺せるように手伝ってやる。」
號「悪魔が?僕を?助けるの?」
悪魔「これを助けると見るか違うと見るかは、お前次第だ!それより…
さぁ、聞かせろ!お前の怨み憎しみの中を!!」
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