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出会い、禁断への一歩
桜散る頃。
桜の花びらが舞い、地へと降り積もる。四月も終わろうかというこの頃、明るく青い大空が広がっていた。
しかし
この空のように明るい気持ちではいられなく、あふれ出る怨みと憎しみに途方に暮れる少年がいた。
この少年の名前は相川 號(あいかわ ごう)。
前の学校でのいじめに耐えられなくなり、この枇杷(びわ)市の第二枇杷之樹学園、高等部へと転校してきて、一週間が経つ。
號はこの町では親の仕送りでマンションに住んでいる。
この学校に馴染んだ様子はなく、暗い雰囲気を滲みだし、うつむきながら学校へ歩いてゆく。
花びらを踏み、鳥は鳴く。
やがて少し暖かな日差しの下號の通う学校が見えてきた。
周りの登校途中の生徒と会話することもなく、独り門へ入る。
「おっはよう!相川!」
と声と共に號の肩を叩く者がいる。
號の胸が「不快」という文字を描く。
號はうつむきながら小さな声で答えた。
「…おはよう。」
「なんだよー、もっと明るくしろよー!明るくGO!GO!」
そう言って去ってゆく。
あやつの名前は吉岡。
號がこの学校で嫌う存在その1。
直後、二人同時の声が…。
「そうだぞ!!名前がゴーなんだから明るくGO!だ!!ははははは!」
號がこの学校で嫌う存在その2、その3。田村に小木である。
號は渋々うなずく。
そしてかの者等も去ってゆく。
號も学校へ入り、憤りを表に表すかの如くロッカーの中の上履きを出し、叩きつけ、履き、教室へ向かう。
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