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その声は美奈を呼ぶ声だった。
「美ー奈ー!」
美奈「あ、この声は。」
瑠歌「ぐっ!」
瑠歌が不快そうな顔になる…。
「こんにちは…可愛い美奈…。」
少し手を振りながら美奈に近づいてくる長身で誰もが思わず振り返ってしまう超がつくほど美しく、黒く長い髪をなびかせる女性は、日向 夏芽(ひゅうが なつめ)。「美しすぎる…。」という声もちょくちょく出る美しさを持っている。合気道部の部長を務める程の合気道の腕も持つ、まさに才色兼備という言葉を持つために生まれてきたような美しい女性である。
少し顔が赤くなり、美奈は言った。
美奈「…夏芽さん、こんにちは…。」
薫「ひ、日向先輩!おはようございます!!」
夏芽「薫、もう夕方になろうかという頃よ。あなたの体内時計はどうなってるのかしら?」
薫(うぅ、この瞬間(とき)がたまらん!)
手を顔に当てたまま固まる薫。
夏芽「固まったあっちは放っておくとして、美奈、今日はお早ようを言いに来れなくてごめんなさいね。」
美奈「いいえ!とんでもないです!部活の朝練ですよね?!それなら仕方ないです…いいえ!仕方ないって意味はお早ようを言いにくるのが当然とかそういう意味じゃなくて!あぁ…!!」
いっぱいいっぱいな美奈…。
夏芽「フフフ…。美奈、何もそんなにいっぱいいっぱいにならなくてもいいのよ…。でもそれが可愛いのだけれど。」
瑠歌「お前がいっぱいいっぱいにさせてんだろ!!」
すごい勢いで夏芽を指差して言う瑠歌。
夏芽「あら、今日もこの男女が一緒なの?嫌だわぁ。」
瑠歌「男女ゆうな!!」
夏芽「ゆう。ではなくて言う。ですわよ?もう少し日本語を勉強しては?それと、私が美奈を混乱させてると?」
瑠歌「それしかねぇだろ!!」
美奈(あー、始まっちゃった。)
夏芽「あなたにそれを決める権限がどこにあるというの?なんて失礼なのかしら?私はただ謝っただけなのよ?」
瑠歌「それが美奈を追い込むんだよ!お前のその言動が!!」
夏芽「後輩のくせになんて生意気なのかしら?お前じゃなく、夏芽様とお呼びなさい。」
瑠歌「様付けなんて絶対にやだね!!お前の、そのお高いところにとまってる感が気に入らないんだ!!」
夏芽「あら、高いところにとまってる感じではなくて、高いところにいるのよ?」
瑠歌「ぐうぅ……。」
夏芽「フフフ…。あら?」
ふと號の姿が夏芽の目に入った。
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