発作を起こすまで

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アタシ。 自由が好き。 束縛なんて死んでもされたくない。 だから、アタシも束縛しないの。 アタシ、そう言った時、康太は俺もそう思うよ。 そう言ったよね? だから、康太の所に行ったのに。 蓋を開けてみると、康太はかなり束縛が強かった。 基本的に女友達より男友達が多いアタシを康太は怒った。 康太が怒るのはほぼ総てがヤキモチが原因だった。 やれ俺といるよりあの人と話してる方が楽しそうだった、だの やれ俺と帰るより社員の人と仲良く残業する方が楽しそうだの。 その度にアタシは3時間以上説教された。 「誰とでも仲良く出来るのがお前のイイ所だろうけど、俺はそこが嫌いだ」 アタシ。 誰とでも仲良くなんて出来ない…。 男の人の方が話が合うんだよ。 女友達なんて数える程しか居ないよ。 俺以外の男と話すな。 まで言われた時。 アタシは言葉を忘れてしまった。 勿論、これは比喩だけれど。 ある日、仕事がかなり忙しい時、女友達と忙しいね、とか、あ、それそこに置いといて。 とか話してただけで康太の機嫌を損ねた。 いつの頃からか、アタシは康太の顔色ばかり伺うようになっていた。 機嫌を損ねた康太に何とか機嫌を直して貰おうと頑張っていたら、 「俺と話すよりあの子と話す方が楽しいんでしょ?」 と言われた時、 目の前が暗くなった。 これ以上、アタシをがんじがらめにしないで。 …ー吐く。 涙も出そうだ。 トイレに駆け込んだ。 勢い良く閉まるドア。 ばぁーん…。 康太にはアタシが壁に八つ当たりをする音に聞こえたらしい。 カウンターに戻ると、 「泣くなよ。うぜぇ」 心無い言葉が返って来た。 またトイレに逃げ込んだ。
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