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「……で、あそこでのびてる顎髭が私と小春の父親。あれでも合気と空手の達人だって・・・それなりにゆーめーだってゆーんだから、世の中狂ってるわよね?」
「それは違うぞ千秋」
何時の間に生き返ったのか、千秋さんの背後から彼女の肩をぽん☆と叩きながら言葉を付け足した。
「剣術も、バリバリだぉうっ?!・・・あーーーれぇぇぇ・・・・・」
彼女の肩に置かれていたオッサンの手がするりと横滑りして、千秋さんの脇に滑り込む。
と同時に……行動を先読みしていた千秋さんが素早く背負い投げを決め、丁度都合良く開いていたテラスの大窓から派手に相手を外へ投げ飛ばし、うざったそうに髪をかき上げて呟く。
「……スケベもバリバリだって説明しておいた方が良かったかしらね?」
「こ・・・」
この流れを見ながら黙っていた矢川が一言ぽつっと呟いた。
「濃い・・・(汗)」
確かに話さないで黙っているような、そんなキャラがいたりすれば……これが小説ならば(笑)存在が霞んでしまうだろうな~…と思うほど、‘召還勇者御一同様’は性格が“濃い”。
その一言には俺も納得して思わず頷いてしまった。
「・・・えーっと……里美ちゃん・・・だっけ?」
フェルディさんが俺と彼女を交互に見ながら口を開いた。
「……貴女のその服(セーラー服)って……ひとみちゃんのと、同じ・・・なの?」
里美ちゃんなる人物が身に着けているセーラー服は、確かに俺が今着ている物とデザインがそっくりだった。
……つまり、それは・・・
彼女がこの世界に飛び込んで来てからこの服に着替えたのでなければ、俺や矢川と同じ‘滝楼高校’出身(……正確には所属)という事になる訳で・・・
(もちろん、ここに滝楼セーラー服がある事自体が有り得ない話なんだけどね(苦笑))
だから、俺と矢川は一瞬彼女を見て驚いた訳なんだが。
「……同じ・・・みたいですねぇ……」
まじまじと里美ちゃんを見ながら、矢川がその問いに答えた。
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