106人が本棚に入れています
本棚に追加
二人が誰もいない教室に残っているのには理由がある。それは二人が未来の部活動が終わるのを待っているためだ。その待っている間に二人はいろいろと話したいことがあったのだ。
「でも、妹が部活終わるまで待っているなんて、ふふ…妹想いだね。お兄ちゃん♪」
「簡単に言ってくれるよ。こっちはかなり深刻な悩みを抱えてるんだぞ?」
「深刻な悩み?どんな悩み?」
希望はため息をついて、守護のほうに身体を傾けた。
「ここだけの話……守護には彼女とか、好きな異性いるのか?」
希望の声はかなり絞られている。おそらく、誰にも聞かれたくないのだろう。そして、守護は一瞬驚いたような悲しんだような顔をした。
「いるよ。……“ここ”にね」
守護は胸に手を置いた。それを見た希望はその意味がわかった。
守護は心臓に重い病気を抱えていたのだ。希望は守護の病名を覚えていないが、ドナーがないと助からないというのは記憶の片隅に残っていた。
「ドナーか?」
「そ。さやかさんって人の心臓が僕の中にね。彼女……脳疾患だった」
何度目だろうか?守護の目に再び涙が込み上げる。
最初のコメントを投稿しよう!