106人が本棚に入れています
本棚に追加
「悪い……辛いこと思い出させて」
「謝る必要無いよ。さやかさんはまだ僕の中で生きている訳だしね。……まあとりあえず、希望の質問の答はどちらかと言えばイエスだよ。でも、それがどうしたの?」
「……実は……」
希望は守護の耳元に近づき、聞き取れるのがやっとな声で呟いた。
「未来が俺のこと好きみたいなんだよ」
耳鳴りが聞こえるような沈黙が三秒続いた。その三秒間、守護は頭をフル回転させてその意味を考えた。
「それは……つまり、異性としてっていうこと?」
「話が早いな。そうなんだよ。だって俺達家族だぜ?兄と妹だぜ?無茶言うなよ」
「それは……確かなこと?」
「不確かなことで俺が悩むかよ」
確かに希望は悩みを抱えることをしない人だ。それが不確かなら尚更悩むことはしない。そんな彼が悩んでいるということはかなり深刻である。
「う~ん…なんとも言えないけど、未来ちゃんの気持ちわからなくもないよ」
「ハァ?」
「希望さ…未来ちゃん大切にしてるって言ったら変かもしれないけど、大切にしてるでしょ?昔から」
「ま、まあな」
「たぶんそういうところに惹かれたのかもしれないし、希望ってカッコイイから」
最初のコメントを投稿しよう!