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希望は一瞬訝しい表情を見せた。
「まあ…そりゃ俺だって未来のこと嫌いじゃない。でもな……ハァ~」
希望は深いため息をついた。
「家族だぜ?妹なんだぜ?」
「う~ん……たぶんそんなに難しく考える必要ないと思うよ」
「なんで?」
「僕がそうであるように、すぐ側に守ってくれる人がいる。優しくしてくれる人がいる。なにより世界で誰よりも好きな人がすぐ側にいる。想いが届かなくたってすぐ側にいるなら、それだけでいい。未来ちゃんはそう思ってると思うよ」
希望は頭の中で守護の言葉を繰り返した。
「そういうもんなのか?」
「そうだと思うよ」
守護はいつもみたいな柔らかい微笑みを見せた。
「………そうか。ありがとう。気が楽になった」
「どう致しまして」
希望は携帯電話を開き、時間を確かめた。まだ部活が終わるような時間ではないが、外はだいぶ日が暮れて暗くなっている。
「なあ…一つ頼みがあるんだ。聞いてくれるか?」
「僕に出来ることなら」
「……もし、もしも俺が死んだら未来を護ってやってくれ。頼む」
希望は深々と頭を下げた。彼の場合、病気とか自殺はしないだろう。おそらくギャオスの被害を受けてという意味で。
「僕でよかったら……頑張るよ」
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