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「マーくん、マーくん。何描いてるの?」
「ノンちゃん♪ほら見てみて♪ジャーン!」
マーくんは画用紙を僕に見せた。そこには緑色の“大きな亀”が赤茶色の“大きな鳥”を踏み潰している絵が描かれていた。
「マーくん、これなに?」
「ノンちゃん知らないの?僕のヒーロー♪皆の守り神ガメラ♪…と、その敵のギャオス」
マーくんは物知りだった。外で遊ばないからかな?マーくんは僕にガメラのことを教えてくれた。
いっぱいたくさん教えてくれた。
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アイツがガメラとかギャオスとかレギオンとかイリスとか話している時の顔はいつも無邪気で、いつも楽しそうだった。俺もガキの頃は楽しく聞いていた。
あの事件が起こるまでは。
2005年に俺の両親はギャオスとガメラに殺された。その時の被害は21世紀最悪の被害だった。何百人も死んで、何千人も重軽傷を負った。
俺と唯一の家族の妹は親戚の家に預けられることになった。
引越しの日、俺は見送りに来たアイツに問い掛けた。
「ガメラって俺達を護るんだよな?」
「う…うん」
「じゃあなんでこうなっちゃうんだよ?」
それがアイツに言い残した言葉だった。
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