106人が本棚に入れています
本棚に追加
/147ページ
希望にはこの古い悪戯に覚えがあった。指の感覚。指を突き刺すタイミング。突き刺し具合。そして、聞き覚えのある声と懐かしいあだ名。
希望は視線を上げて、悪戯をした犯人の顔を見た。
「お、お前!」
希望の目に飛び込んできた顔は爽やかな笑顔を見せている。彼にはこの爽やかな笑顔をしている人が誰なのか知っている。
「お前天智!天智守護(アマチマモル)!」
「ふふふ……覚えててくれてよかった~。久しぶりだね……ノンちゃん」
希望はここに来て初めて笑顔を見せた。照れ臭そうな笑顔だ。
「その呼び方止めろよ……恥ずかしい」
「そうだね。じゃあ久しぶりだね希望」
「ああ…久しぶりだな守護」
二人は幼なじみ。お互いをあだ名でしか呼ばなかった仲良しのノンちゃんとマーくんだ。二人は再会を喜び、人目があるのも忘れて、がっちりと抱き合った。むろん、クラスメートがこの光景に戸惑ったのは言うまでもない。
最初のコメントを投稿しよう!