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嘘をつく事は昔から得意だった。
これは俺の唯一の特技である。
あの時もそうだった。
「翔くんはいつ帰ってくるの?」
「分かんない」
「そっか…。また会えるよね」
「うん。また会えるよ蜜柑ちゃん」
蜜柑は元気にしているだろうか?
あれ以来一度も顔を見てないからな。
それと、あの時は蜜柑を悲しませたくなかったから“また会えるよ”と嘘をついたのを思い出した。
でも、まさか本当に帰ってくるなんて…。
俺は昔住んでいた赤原島に行くための船に乗っていた。
俺以外には誰も乗っていない。
(六年ぶりか…懐かしいな)
俺は今年で高校一年になる。
高校生活を赤原島で過ごそうと思い、一人でこの赤原島にやってきた。
もちろん、婆さんは反対したけど、何度も俺が理由を言ったら賛成してくれた。
あの時は口が裂けるかと思ったよ…。
「お兄さん島が見えてきたよ」
俺は立ち上がって島を見た。
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