第一章『過去』

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ついてきた先は夕日ヶ丘だった。 「ここって夕日ヶ丘だよね?」 綾乃が聞く。 「そうだよ」 「何しに来たの?」 「まぁ、見てなって」 そう言うと、勝は太陽が沈んでいくのをじっと見つめていた。 俺等も勝につられて一緒に太陽を見つめていた。 しばらくしたら、勝が 「そろそろだ」 と言う。 太陽は沈みかけている。 もう少しで完全に見えなくなりそうだった。 すると、辺りが真っ赤に染められた。 秋でもないのに、山の木々が紅葉しているかのように鮮やかに見られた。 「わぁー」 俺等は興奮しながら、その姿を見ていた。 「なっ!凄いだろ」 俺等四人は一緒に首を振った。 「約束しよう!」 勝は大きな声で言った。 「翔が引っ越したとしても、いつか帰ってくると言ってくれた。なら、俺等はひたすら待とうではないか」 「うん」 蜜柑が一番に言ってくれた。 「分かった」 大地も賛成してくれた。 「そうだね」 綾乃も了解した。 「みんな…」 この時、俺は涙目になっていたと思う。
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