第一章「レッド・クリスマス」

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 死には必ず理由がある。  理由は何でもいいだろう。病気でも、事故でも、勢い余ってでも、運が悪かったでも、魔が刺したでも、邪魔だからでも、ムカついたからでも、なんとかでも、何でもいい。  とにかく、理由のない「死」はあり得ない。  俺の家族の「死」にも理由があった。  理由がある以上、それを作った元凶がいた。  さて、そこで俺は考えた。 「悪いのはいったい誰だろう?」  怒りや憎しみなどの感情は自分の中に溜め込むからこそ辛い。だったら、誰かを憎んでやればいい。  家族を救ってくれなかったあやふやな世界や、偽善者振った第三者、そして明確な誰かを。  誰を憎めばいい?  誰をその対象にすりゃあいい?  誰を標的にすれば、後ろめたさもなく、全力で、憎しみと怒りをぶつけることができる?  誰を悪者に据えれば、俺は自分の中に滾る憎悪と赫怒を叩き付けることが出来るだろうか?  答えは簡単だ。  死の理由を作った元凶……俺の「親戚」だ。
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