第一章「レッド・クリスマス」

9/27
前へ
/90ページ
次へ
 他に誰もいないからな。  両親を保証人に仕立て、利用した挙句、売り渡し、一家心中にまで追いやった元凶。  奴が悪い。  復讐してやる。  他人の犠牲の上に生を得ている蛆虫………いや、もっと最低の、クソ虫だ。 「………思えば、俺も若かったんだなぁ」  苦笑して、俺はナイフを懐にしまう。いくら人気がないとはいえ、ナイフちらつかせている姿を誰かに見られたら面倒だ。  さて、寒空の下でこんな終わった場所にいてもなんの意味もない。取りあえず、今夜のねぐらと食事を求めて、俺は歩き出した。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加