あなたの笑顔

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「智ー利ッ!!」 呼ばれて振り返ったら、美緒と藤波さん。 「移動教室一緒行こうよ?」 「え、いいの?」 「いいのって、美緒が誘ってんだからいいに決まってんじゃん。真子もいいでしょ?」 「うんもちろん」 「ほら、行こ?」 「うんっ」 嬉しくて、思わず笑顔で教科書と筆箱を持った。 時、 「智利?」 笑顔は消える。 「智利はウチらと行くんだけど。」 有里の低い声。 動きも凍る。 2人の後ろに、4人がいた。 陽菜はニッコリ笑む。 「智利は私と行くんだよ?椎名さんと藤波さんはいつも2人じゃん。 智利奪わないで?」 陽菜の笑顔が、怖い。 「ほら、行くよ」 理江が智利の手を引っ張った。 あまりにも突然だったからうまく持ててなくって、教科書と筆箱を落とす。 「何やってんの?」 「ご…めん……」 慌てて拾ったら、筆箱の中身まで出してしまった。 もう、バカ―― 急いで適当に突っ込みながら入れてたら、 「大丈夫?」 長い髪が落ちて、真子がペンとかを取った。 「あ…うん」 「はい」 「ありがと…」 拾って貰ったものを受け取って全部筆箱に入れる。 「ホント、ありがと…」 「ううん」 「………ごめん」 そう言うと、智利は走って4人の所に向かった。 ――ごめんなさい………  
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