空元気

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「音々、トイレ?」 ってさっき言ってたもんね。 だけど、向かったとこは少し遠くにある階段。 「違う」 フルフルと首を振ってから、音々はこっちを見た。 「あのね智利ちゃん。 智利ちゃんだけには言うから、絶対秘密にして欲しい事があるの。」 「え?」 「智利ちゃんは、口固そうだし、秘密とかバラなさそうだから…。」 大人しそうな瞳が悲しげに光る。 「…私ね、加古くんと付き合ってる。」 ――絶句 「陽菜ちゃんや理江ちゃんには言えなくて、でも……」 言葉が出ない。もう、バカみたいな……。 「私ね、別れたくなくて。もしも陽菜ちゃんとかにバレたら、何されるかわかんないし…。 どうしよぉ……。」 どうしよぉじゃねぇ。 こっちの方がどうしようだよ。 「と…とりあえず、何も言わなければいいんじゃん?」 「でも…」 でもってなんだよ、人が考えて言ったのに。  
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