空元気

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「永田って、裕介に気ぃあんの?」 「はぁっ!?」 「だってわざわざ見舞いに来るとかさ」 「……あぁ、ううん。 幼馴染みなんだ、そりゃもう一緒に風呂入って寝た中の。」 「幼稚園ん時?」 「確かそんぐらいだったかな。 だから一応行っといた方がいいかなぁって思って」 「へぇ、いいね、なんか友達想いで。」 「ありがと」 坦々と加古は非常階段を上る。エレベーターは人が混んでたからこっちの方が楽だったらしい。 「……あ、ねぇ加古?」 「あ?」 「あんた、音々と付き合ってるの?」 一瞬加古の動きが止まった。 しかし、すぐにまた元に戻り、 「そうだけど、だから?」 振り向きもせずにそう言った。 「あ、や、別に特に無いんだけど…。 じゃあ、陽菜フッた?」 「陽菜?」 「中垣陽菜」 「……ああ」 なんだコイツ。爽やか系ってイメージが崩されていくんですけ―― 『人を外見で判断すんな』 ――あ… そっか…。 「音々の事、好きなの?」 「たりめーじゃん。好きじゃないなら付き合わねぇよ」 「そうだよねッ 音々のこと、これからも守ってあげて?」 「…守るって…」 「ヘヘッ」 クールってイメージもついたけど、加古はいい奴だなって、何故か思った。  
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