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男の表情が、愉悦から憤怒に変わる。
「何だお前は!」
自分の行為を咎められた訳ではないがしかし、男は怒声を放った。それは視線の先の人物が、これから行うであろう事を邪魔すると予見して。それを追い払おうとして。
誰かが、居る。
それに気付いた少女は、身を翻して頭上を見遣る。
そこに居たのは、闇に溶けるような真っ黒な外套を着た、黒髪の男。少女と男を見下ろす双眸は、酷く無機質。
その暗黒のような装いに、少女は息を飲んだ。
怖い。
そう感じて。
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