序章:月は総てを照らす

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    路地裏の袋小路の壁面。その上に仁王立ちする黒い男は、何も語らぬまま外套を翻して飛び降りた。 自身を見詰める二対の瞳を飛び越え、軽やかに着地する。黒衣は風に舞い、黒い男の身体から一拍遅れて地につく。 黒い男が背中を向けたことにより、背負う物に気付いた。それは、長刀。 「お前は…何だ!!」 先程よりも強く、男は叫んだ。声から恐怖は感じ取れず、そこに含まれているのは邪魔な第三者に対する怒り。  
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