消えていく者達に

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    ナミは直ぐ病院に運ばれた           直樹は手術室の前でずっと祈った     『お願いだ!ミキちゃん!ナミさんを守ってくれ!目が見えて やっとこれからって時に…頼むよ…』         数時間           手術室の灯りが消え 扉が開いた     中から先生が出てきた   直樹は先生に近寄り   「ナミさんは!?」   先生の首は縦には振らなかった     「そっそんな…!嘘だ!!先生っ!!!」     先生はうつむき加減で   「手はほどこしましたが…母子とも残念です」     直樹は先生の胸元を握りしめ 「残念って… ナミさんはこれから幸せになるんだっ! 僕が幸せにしていくんだよっ! だからナミさんは死なない!!!!」   先生は静かに 「本当に残念ですが…」   それでも直樹は 「ナミさんは死なないんだよっ!! 僕との子供を産むんだからっ!!!!!」   そう言うと直樹は手術室の中に押しかけた     ナミを見つけると 強く抱きしめ 「ナミさん… 居るじゃないか、心配したよ、もう大丈夫だよ 僕がずっと側にいるからね」   直樹はナミの亡骸を抱きしめ 優しく言う   ナミの顔を見ると その表情は少しはにかんでる様にも見えた     直樹はナミを抱きしめ 「さぁ帰ろう、風邪ひいちゃうよ、ミキちゃんも待ってるよ」    
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