第一章―旅立ち―

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 この世界はいつからか、フラグメントと呼ばれるようになった。  まるで、欠片を寄せ集めたかのような世界。  バラバラで、ちぐはぐな世界。  国境によってくっきりと分け隔てられた世界。  一つの大陸にまったく違う四つの国。  その一つ、太陽の国は領土の半分以上に砂漠が広がっていて、王都である『サグエル』は砂漠の中心に位置するオアシスだ。  そのきらびやかな宮殿の通路を一人の青年が歩いていた。  足取りは堂々としたものだが、その心の内は重く沈んでいた。  緊急の用件、という事で王に呼ばれたのだ。  王自ら話を通すなど、何か悪い事が起きた可能性が高い。  いや、そもそも八年前に光の国が消えてからは太陽と月、両国の間では協定が結ばれているから戦争などもうずっと起こっていない。  闇の国に関しては、何百年も或いは何千年も前から干渉していない。  何を言われるのか、皆目見当も付かなかった。
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