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「呪いがかけられていたんです。封筒ではなく、中身に」
久渚がゆっくりとした動作で封筒の端から中心にかけて指を動かす。
「なかなかにこすい呪い師ですよ。呪いをかけた便箋を、結界を張った封筒で覆い隠す。これぐらいなら誰でも思い付きそうなものでしょう?」
フェイには呪いや魔術の知識は無いのでよくわからなかったが、とりあえず頷いておいた。
多分、呪いを隠す為の基礎知識か何かなのだろう。
「しかしこの女のこすい所は、それを察知させないように、極限にまで弱めた事にあるのです。大体……」
何事も無く話を進めようとする久渚を、フェイが慌てて止めに入る。
「ちょっと待ってください、猊下」
久渚が話を止め、きょとんとした顔をフェイに向ける。
「いえ、久渚でいいですよ」
見当違いな返事を返す久渚に、フェイは小さく頭を振った。
「いえ、そうじゃない。そんな事はどうだっていいんですよ猊下」
久渚が軽く口を尖らせたがフェイは気にせず話を続けた。
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