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もちろんそれが見える距離では無いが、それは夢の便利なところである。
彼女はそれを見ると舌打ちをし、私に目線だけで乗るように促した。
私は彼女の後ろに座った。
よほど怖かったからか、もう奴等に狙える距離ではないと分かったからか。
それでも後ろから彼女の後頭部に拳銃を向けていた。
ずっしりと重い真っ黒の拳銃だった。
こんな重たい拳銃は近代の警官では使うまい。
彼女のバイクはある建物の前で止まった。
建物かどうかは曖昧だが、木製の門を通るとそこには吊り橋があった。
吊り橋の下は水が広がっていた。
それにしても良く揺れる。
私は先を歩く彼女の後を追った。
吊り橋の向こう岸には白髪の老人が立っていた。
杖を持っていたようないなかったような曖昧さがある。
今思い返すと「アルプスの少女ハイジ」のおじいさんしか浮かばないあたり、そんなイメージの老人だったのだろう。
水はプールのようにも見えた。
何となくだがイルカショーに使うような大きなプール、そんな感じである。
ただ水は酷く綺麗で透き通っていた。
多分飲めただろう。
追記になるが建物は全て木造だった。
街中にそんな場所のあるギャップがまた夢らしい。
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