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暗闇の中では音だけが頼りになる。
他の五感を遮られた事により耳だけはやけに敏感だ。
「お一人様がお還りに」
「………この棺桶開くの!?」
男は少し考える。
「……開きますとも」
ガタンッ…ガタンッ
ガタンッ…ガンッ…
ひたすらに音が響く、棺桶を内側から叩く音だろう
しばらくして
声が届いた
「開かないじゃない!!」
暗い棺桶の中で精神は確実に崩れ始める。
「ねぇっ!開けてよ!ねぇってば!」
ギィッ…
またどこかの柩が開いたらしい。
男は騒ぐ棺桶を離れそちらへ向かった。
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