柩-HITUGI-

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  遠ざかる足音を聞きながら思い出していた。   ここに来る前の経緯を   何の変哲も無い、どこにでもいる人間だったと思う。 これといって目立つでも無く、どちらかというと影の薄かった自分は俗に言うイジメを受けていた。   女子特有の陰湿かつありきたりなイジメで多くを語る気にはなれない。   ただ、今日、自分は風になったのだ。 イジメから逃げ出したくて見知らぬマンションの屋上から飛び降りた 風を全身に受け止めてジェットコースターに似た感覚を感じながら… それでも確かにあの時   『自分は今生きている』   そう感じられたのだ。まさに死ぬ間際に   馬鹿馬鹿しい  
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