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しかもだ、完全に死んだと思っていたが違うのかも知れない。
現に柩の開く音は何度もしている。
そう思えば、生への執着心が湧き上がる。
人間など所詮そんなものだ、死にそびれたと思えば生に愛着が湧き生きているのは運命だなどと考える。
都合が良いものだ
ガンッ…ガンッ
「開かない……」
ガンッガンッガンッガンッ!
「開けてっ!出してよぉっ!」
男はまた別の柩を見詰めている。
奇抜な棺桶は黒と赤が多く使われ、所々に薔薇のコサージュが施されたゴスパン系の棺桶。
ギィ--
装飾された蓋が開き、中から棺桶のイメージぴったりな女性がゆっくり起き上がる。
その目は虚ろで何も捕らえてはいないがしっかりと起き上がると棺桶から出て来る
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