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女性はふらつくでも無く、辺りを見回すでも無く真っ直ぐに扉へと向かっていく。
男はそんな女性に向けて深々と頭を下げた。
「逝ってらっしゃいませ」
女性は答える事も反応する事すらなく扉から出ていった…
ガンッガンッガンッガンッガンッ
シンプルな棺桶は未だにガタガタと喚く。
男はステッキをクルクルと回し再びシンプルな棺桶の前までやって来た。
コンコン
「~外に居るんでしょう!?開けて!お願い開けてっ!」
「それは無理ですよ。私には開けられません。あぁまたお一人様がお還りになりましたよ」
「どうしてっ?なんであたしの柩だけ開かないのよ!」
「さぁ?外への未練が足りないのでは?」
ガンッ…ガンッ…
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