フェイス②

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真田は、京急川崎から電車に乗り、上大岡に向った。快速ではなく、普通電車でゆっくりと目的の場所へと移動していった。
真田は、流される景色を眺めながら、昔の記憶を蘇らせていた。幼少期、少年期、青年期と…。
上大岡に着くころには、真田は、怒りの形相に変わっていた。
駅からタクシーを使い、移動した。
『寒いですね。』と、タクシーの運転手が話し掛けてきた。
真田は、それを無視して、外を眺めた。街路樹が、茶色に衣替えをし、冬を越すのに備えていた。
真田は、秋が嫌いだった。辛い冬が近付く、その悲壮めいた感じが、真田自身を暗い気持ちにさせていた。
目的地よりも離れたところで、タクシーを降りた。10分ほど歩き、到着した。
そこは、煉瓦造りの輸入住宅だった。200坪は、あろうかと思う、その庭は、とても綺麗に掃除がされていた。秋なのに落ち葉もほとんど落ちていない。自然ではなく、人工的に思える空間を真田は、目を細めて見ていた。