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インターホンを鳴すと、懐かしいというよりも、憎らしい声が聞こえた。
『どちら様ですか?』と、家主は、暗く、沈んだ声で応対した。
『望月君の元同僚で真田と申します。突然会社を辞めてから、連絡が取れなくなったので…』と、真田は言った。
『あ~そうなんですか。亮からは、何も連絡は無いですね。』と、他人のような存在扱いで、家主は言った。
『そうですか。それでは、連絡がありましたら、連絡を取りたいので、私の携帯番号を伝えてくださいませんか?』と言うと、ようやく、玄関が開いた。
家主は、玄関脇の棚にある、メモ用紙をめくって、
『番号をお願いします。』と言った。
『080…』と言いかけて、真田は、
『お前は、息子の声を忘れたのか!』と言って、腰に差してあったナイフを取り出した。
『ひぃ~。』と声をあげて、家主は、尻もちをついた。
『連絡が取れない、亮君は、俺だ!』と叫び、家主である母親の首を切り付けた。
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