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「ただいま!」
走る度に揺れるくせのある外ハネの赤髪が、台所で夕飯の支度をしている母の腰に抱き着いた。
「お母さぁん」
「お帰りカレン。どうしたの?」
何か良いことでもあった?と優しく微笑みカレンに向き直る。
カレンはえへへ~と笑いながら一枚の紙をランドセルから取り出し、母に見せる
「昨日のテストで100点とったんだ!」
「まぁ、凄いわカレン!今夜はご馳走ね」
母は自分のことのように喜び、カレンの頭を撫でた。
カレンは照れながら母を見上げ笑う。
それと同時に二人の少年の声が玄関から響いた
「ただいま~」
「お邪魔しまーす」
「あ、お兄ちゃんと扇さんだ!」
カレンは声のした方へ台所から顔を出し、おかえり!と二人を出迎える。
「なんだカレン、良いことあったみたいだな?」
カレンの兄、ナオトは帰り道で買ったドーナツをくわえながら頭を撫でた。
「カレン、おばさん、お土産のドーナツどうっすか?」
扇要…ナオトの同級生で親友…彼はドーナツの入った箱をカレンに渡した。
「やった♪扇さんありがとう!」
「いつもありがとう、扇くん」
扇はカレンと母の笑顔を見て照れるが、ナオトが意味有りの笑みをみせたので慌てて真顔に戻した。
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