56人が本棚に入れています
本棚に追加
「…お兄ちゃん‥!」
カレンは思いきりナオトに抱き着き、ナオトはその自分よりも赤い頭を優しく撫でた。
「カレン、俺たちは何も悪くない。だから虐められても…そうだな、気にするなってのは無理だから…うん」
思い付いたように頷くとカレンの顔を真っ直ぐ見つめ
「胸張ってけ。この身体の中に流れている血が半分ブリタニアでも、心は日本人だ。」
ナオトは拳を自分の左胸辺りに添え、軽く叩く。
「心は日本人‥?」
「あぁ、そうだろう?でも酷いことされたら必ず俺に言えよ?兄ちゃんがら懲らしめてやるからな!」
ナオトはニッと笑って腕を捲り拳をつくってみせる。
「ふふ‥あははっ。ありがとう‥お兄ちゃん!でもね、わたしたたかってるから平気!」
それを見てカレンは吹っ切れたように声を出して笑った。先程の兄のように拳をつくってみせる。実はカレンは腕っ節が強くいじめてくる男子たちを懲らしめていた。
「流石俺の妹だな。でも、カレンは女の子なんだから無茶はしないでくれよ」
その言葉にカレンは目を輝かせ、嬉しそうに頷き、ナオトは目を細めこんどは髪が軽く乱れるほど頭を撫で
「よし!帰るか。きっと母さんが夕飯の支度して待ってる」
「うんっ」
二人は明るい面立ちで歩き出した。その時には空はもう、暗くなり星が瞬いていた。
最初のコメントを投稿しよう!