Flat Days。

始まるこれからの日々【前】

　四月。桜の季節。花見にはちょうどいいけど、コンクリートの上に散った花びらを見ると、なんとなく物悲しくなる。そんな季節。

　前の黒板では、数学の杉内先生が、必死に公式を書き殴っている。
　だがそもそも今日の授業は復習なので、私にはあんまり必要なかった。

　なんとなく、窓の外を見てみる。色々な制服を着た学生たちが、うろうろしていた。
　あぁ、そういえば、担任の先生が今日は入学式だって言ってたっけ。

　授業の合間に騒ぐなとも注意してたけど、どうせ静かにはならないだろうし。

　ちなみに私の後ろの席では、長身の女学生が、ぐーすかいびきを立てている。

　友人の秋原くるみだ。

　春休みの課題を終わらせるために徹夜したらしいけど、私だって眠いの我慢してるんだから、注意はしてあげない。

　…女の子なんだからもう少しちゃんとすればいいのに。

　そんな事を考えていると――

　チャイムが、鳴った。