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会話は妙な大きな声で響いた。夜の学校は神秘的だった。
「……敬と何回キスした?」
ゴンッ、と梓は壁に額をぶつける。
「なんつー聞き方すんだ……」
「いや……。まんま聞いたんだけど……」
美羽は自分より多かったらショックだな、と思った。
「つーか……、あくまで口移しだぜ? 子供が大人にやるアレだぜ?」
「だけど……」
もじもじする美羽に梓は廊下の中央で優しくキスをした。誰も見ていない中で丁寧に触れる。
「俺がキスだと思うのはこうゆうの。何度もしたくなるような甘い物だろう?」
カタッ、と強い風で窓が揺れる。
「そう……なのかな……?」
「考えんな、馬鹿。こうゆう時は黙って目を閉じてろ……」
相手がそう考えているかなんて分からない……。
キスはそうゆう物だろう。
一度触れたら戻れないような―――そんな麻薬……。
完
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