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「やったぁ……」
指に力を少しだけ込めてぴたり、と寄り添う美羽の仕種が堪らなく可愛い。
梓は妙に甘える行動で自分を翻弄する美羽を見た。
梓の方が僅かに身長が高いので長い睫毛や零れてしまいそうな程に大きな瞳がよく見える。
美羽の目は梓と視線を交わして去ろうとしている敬と俊宏を呼び止めた。
「敬、俊宏、私達と一緒に行こう?」
美羽の誘いに梓はそれほど取り乱したりしなかった。
多分、そう言い出すであろう事を心の何処かで想像していたからだろう。
「いえ、私は……」
「ラブラブカップルの邪魔は……ねぇ? 迷惑でしょう?」
敬と俊宏がきっと自分達の事を思って申し出を辞退するであろう事も想定内であった。
梓はもちろん、美羽と二人きりで回るのも大歓迎であったが親友を捨てるほど非情ではない。
「美羽が来い、っつてんだ、来いよ」
梓は「美羽が来い」をダシにしたのかもしれない。
3人で力を合わせて作り上げた物を一度くらいは一緒に見ても罰は当たらないだろう。
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