特別編―南陽祭二日目

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 流石、私立高校。  やる事が有り得なくド派手過ぎて美羽の思考回路が付いて行かない。 「今日は生徒会オンリースペシャルライブ、退屈にはさせねーぜ!」  梓がマイクを握ると空気が変わる。  生徒と校外からのお客さんは合わせると膨大な人数になった。  梓と敬と俊宏は視線を交わしただけで急に曲を始めた。  今日、急遽、つい20分ほど前にバンド結成を決めたとは思えない。 ――――――――――*****――――――――――  美羽の家まで梓が迎えに来るのは日課であった。  財閥の息子が徒歩通学など空から槍物だ。  しかし、梓が信念を曲げないのは誰もが知っており、それに便乗してか、敬と俊宏も元気に歩き通学を始めた。  4人が共に歩く姿は日常的な物となった。 「今日は生徒会は何をするの?」  昨日は結局、誰ひとりとして捕まらなかった。  因みに景品は購買で利用出来る金券、一人×5万円だったらしい。  美羽は少しだけそれが欲しかったが仲間を売るような人間にはなりたくなかった。 「お前なぁ……それを今聞くのかぁ? 少しくらい参加しよう、とか思えよな……」 「えー……、どうせ梓達と居るから多分、参加したら卑怯じゃない? だって、私は3人の事、よく分かってるから」  それは本当だ。転校してからずっと、このメンバーで行動しているのだから知らないのは過去の出来事くらいの物である。
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