特別編―南陽祭二日目

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 自信があったのに梓は何も言ってくれない。美羽の顔が雲って行った。 「……やっぱり」 「負けたな……」  梓はとても残念そうな顔をして美羽を見た。  美羽は梓の発言の意図が汲み取れずに悩む。 「何に負けたの? てか、感想は?」 「美味い、かなり。負けたのは料理の腕だ。俺だってそこそこ料理は出来るんだけど……美羽のが上手いかなー、と」  誉められたのは素直に嬉しいが沈黙は心臓に悪い。 「何だ……よかった……」  てっきりまずくて罵倒されるかと思っていた美羽は梓の腕に捕まった。  安堵の溜め息を漏らして泣きそうになる。 「もぉー、梓ってば言葉が足りなさ過ぎるよぉー」  俊宏は悩殺スマイルでクッキーを食べる。  その顔を見ると俊宏はやっぱりモデルだな、と感じた。 「そうか? 俺はいつもこんなんだぜ?」 「タイミング、という物があるんですよ? 言葉と言う物には」  敬はどんな物を食べる際にも優雅であった。  美羽のクッキーも超高級品に見える。
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