特別編―南陽祭二日目

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「ちっ……!」  梓は下唇を噛みながらイライラと歩き回る。  敬も額に皺を寄せ、俊宏も真剣な顔付きをしていた。 「梓……、流石に僕達にも打つ手立てはないよ……」  俊宏は声のトーンを低くしてポケットから馴染みの携帯を取り出した。  ・・ 「アレ以外は……ね」  俊宏は梓のような鬼畜な笑みを浮かべる。  いつものような甘美さは存在しない。 「……飛鳥さん? すぐにori―himeの服を3着、そう……僕と梓と敬の分……、何でも良いから持って来てくれる? 写真取り放題で使ってくれて良いから、うん……出来れば5分以内に……」  俊宏の会話の横で梓は少し唇を噛む力を緩めた。 「……けーい」 「……はいはい」  梓に調子が戻って来たようで敬と視線を酌み交わしてニヤリ、とした。
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