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「美羽、どうしたんだ?」
「なんかね、私、初めての南陽祭でしょう? でも、ハプニングだらけで大変だなぁ、って思って」
美羽が梓にそう投げ掛けると梓は「そうだな」と苦笑した。
「去年は何もかもスムーズだったのになぁー……」
梓は重い腰を上げて観客の居ない席を見下ろす。
まだ、片付けと明日の体育祭の準備が残っていた。
「じゃぁ、私は疫病神か」
「いや、貧乏が……―――」
いつもの天然な梓の発言を見越した美羽は梓の口を先に塞いでやった。
唇で
目を見開いた梓に美羽は小さく笑う。
月のせいで制服に身を包んだ美羽が梓の目には3割増しに映っていた。
「ハプニングだね」
新たなハプニングに完全にしてやられた梓の動揺は計り知れない。
元気一杯の美羽が小悪魔に見えるのは恐らく梓の勘違いではないだろう。
「つか……、色んな意味でヤバイっつーの……」
ピンチとハプニングで構成された南陽祭2日目は美羽の勝利で幕を閉じた。
さらに厄介な南陽祭最終日は数時間後に幕を開ける……。
完
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