特別編―南陽祭三日目

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――――――――――*****―――――――――― 「けほっ……」  快晴の元、梓の開会宣言でスタートした南陽祭、3日目。  疲労もピークを迎える中で体育祭は初っ端から盛り上がりを見せる。  敬は誰にも悟られないようにしていたが体調が頗(すこぶ)る悪く参っていた。  慣れないことをしたせいもあってか、限界が来るのがいつもよりも早かった。  気温が28度を越える中、長袖、長ズボン、その下にも厚手のトレーナーを着込むと言う重装備だ。元々、寒がりな体質なのだが、それだけ着ても敬は震えていた。  抑えたくとも生理的な現象に抗う手段もなく、出番まではとにかく動いた。やることが山ほどあるのが唯一の救いで、梓や俊宏に接触する機会が少ないことに胸を撫で下ろす。 「…………か、ぜ、引いた?」  そして、その油断が美羽に気付かれることとなった。
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