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美羽はよく働いた。敬が動く前に仕事を熟していたのだ。
その行為を違和感の無く遂行する美羽の要領の良さに敬は救われる。
美羽は可愛いと思う、冷静に見ての敬の見解だ。
梓も美羽も最初は気付いてなかったが二人とも一目惚れだろう。
勉強も運動もどちらも引けを取らない二人は肩を並べるに相応しい。
「…………別に嫌いな訳じゃないんですよ……」
二人の幸せが続くことを願ってはいる―――けれど、自分が報われないことを痛感させられる。
知っていたけれど……苦しくなるのだ。
――――――――――*****――――――――――
「……」
梓は何も言わないが美羽と敬を交互に目の端に止めていた。
無駄に働く美羽と動きの鈍い敬。
嫌気がさすのはいつだってアイツのそう云うところだ。
「梓……、言葉にしなきゃなぁーんにも伝わらないよ?」
きゅるん、とした仕種の俊宏の言葉はいつも的を射すぎていて、哀しかった……。
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