特別編―南陽祭三日目

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 ゴールで待っていたこの競技の判定員は敬に梓を突き出されて困り果てた。  梓も梓で敬と美羽を見比べて困惑の表情を浮かべる。 「私達の借り物です」  敬はガラガラになる寸前の声で判定員にお題の紙を渡した。  少しよれた紙を開き、彼は全校生徒にそのお題を知らせる。 「大切な……人……」  カッ、と耳を赤くした梓に熱に浮かされた敬はやんわりと微笑んだ。  シン、とした中に敬が梓を借り物とした理由を云う声だけが響く。 「……梓は大切な親友です。今までも、これからも……―――ずっと……。だから“大切な人”。美羽君にとっても、ね」  
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