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馬車に乗り込み夜の道を歩き出す
車内には馬の蹄の音だけが鳴り響く
「こんばんはホルマン伯爵…」
「おや、シュタイン提督…今日はお越しいただきありがとうございます。」
「いえ、お招きいただきありがとうございます…妻にこのようなドレスまで。」
「いえ、ただ御婦人によく似合うと思いまして…お似合いですよ?シュタイン夫人?」
「ありがとうございます。ホルマン伯爵」
たまに、ホルマン伯爵は悲しそうな顔をする
その度に夫は勝ち誇ったよう樮笑む
「ジェームズ!!」
「「?」」
「おや、バレンタイン嬢。貴方も舞踏会へ?」
アグリラ・バレンタイン。
領家のお嬢様で鈴蘭の姫君と言われているる、少々お転婆だと風の噂で聞いた事がある。
雰囲気が少し姐様に似ている気もする。
「えぇ…ホルマン伯爵から貴方を舞踏会へ招待したって聞きましたから」
嬉しそうに話すバレンタイン嬢
夫も嫌がっているようには見えない
寧ろ二人は…
「ジェームズあちらへ美味しいカクテルがあったの✨一緒に行きましょう✨」
私が試行錯誤しているうちにバレンタイン嬢は夫の腕を引きずんずん遠くへ進んでいった
夫を捕られた疎外感
知らない間に作られた二人の関係を目前にし、悲しみのみが後へ残った。
自然と涙は流れ
美しい曲も…
楽しそうな声も…
誰の音ま届かない。
「…んな…ティー……った」
「夫人?」
「こんな…パーティー…来ない方が良か…った…」
悔しさや悲しみが私を飲み込み
涙と共に汚い感情しか浮かばない
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