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綺麗に生けられた椿と四神の掛け軸だけが飾られているだけの部屋
その中央に敷かれた布団、そこに横たわる自分・・・
沖田が思いに耽っていると何処からか歌が聴こえてきたひどく美しい旋律の悲しみの歌・・・
歌に引き寄せられるように沖田は障子を開けた
すると広い澄んだ池が庭の中央にあり四季折々の草花が植えられていた
だが声の主は見つからない・・・
空耳か・・・沖田がそう思った時だった
1人の少女が沖田が居た部屋の近くにある大きな木の裏から姿をみせた
「気がつかれたんですね。良かったぁ」
少女はそういうと優しく微笑んだ
深い青色の長い髪に、髪と同じ深い青色の瞳をした細身で色白の少女・・・
沖田には全く覚えの無い少女だ
「貴女が僕の事を世話して下さったんですか?」
「はい。他の方々はもう元気に修行をなさってますよ」
他の方・・・?
あの時一緒に居た土方さんや近藤さんの事だろうか?
「直ぐ着替えを持ってきます」
そういうと少女は屋敷の中に入っていった
良く見れば着替えさせられている
多分着替えをしてくれたのは土方さんや近藤さんだろう・・・
あまり時間が経たない内に障子が開いた
「総司着替えだ」
だが、そこに現れたのは先程の少女では無く土方歳三であった
「土方さん・・・」
だが彼に少し違和感がある・・・若返っているような気がした
沖田が訝しげな目で土方を見ていると土方が口を開いた
「お前も気づいたか・・・」
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