『恋に堕ちたあなたへ…』

－出会い－

　彼に逢ってみたい。でも怖い。

　大体仲良くなった男の子達は、すぐに『会おうよ。』と言ってくる。
　あたしが、『可愛くないから。』と言っても『性格で好きになったんだから、顔なんて気にしないよ。』と決められた台詞のように言う。その時はお互い、相手の理想に近い異性を演じているから、多分本心からなのだろう。
　あたしも相手に同じような事を言っていた。こんなにあたしの話を聞いてくれて、優しい人に変な人はいない。と、錯覚してしまう。

　実際に会ってみると、突然夢から醒めて、あたしは何をしているんだろう…。と思う事がよくあった。
　一度会うと、会えた満足と想像と違った不満が交互に押し寄せ、急激に冷めてしまう。
　その後、連絡が来ると、相手からの嫌がらせを避ける為に、自然消滅を狙って『料金払えなくて、携帯止まっちゃうんだ。』と言って、ﾒｰﾙｱﾄﾞﾚｽを変えたり、着信拒否をしたりした。
　自分の家庭を壊したくなくて、深入りされるのが怖かったのだ。