-出会い-

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 そんな体験をして、ネットの世界での恋愛は慎重になった。  もう誰も信じられない。所詮日常生活の分からない人達だし、こっちも作った性格、作った喋り方でイイや…。  そういう気持ちで、気楽にネットを楽しんでいた。誰が何を言っても気にしない。楽しい時間が過ごせればいい。    当たり障りのない話。ネットでの会話は尽きる事がなかった。  関西弁の彼とは、そんな出来事が起こる前から、ちょこちょこ話していた。意外と趣味や興味の対象が一致していて、同県人というのが、親密さを増していったのだ。  彼はネット恋愛否定派だったし、あたしも嫌な思いをした後だったし、15歳も年下の彼を恋愛対象とは見れないのも事実だった。    けれど、携帯の使い過ぎで、夫に怒鳴られ、もう電話出来ないと言った時、あたしと話したいから、自分から掛ける。と言ってくれた彼に、嬉しいを通り越して、愛しい気持ちが溢れていっぱいになってしまった。    この時はまだ、お互いなくてはならない存在になるなんて、微塵も思いはしなかった。
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