淡桜雪 -ﾀﾝｵｳｾﾂ-

春の訪れ ～第一幕～

『近宮春巳(ちかみや　はるみ)君、やめなさい。』

何だ？誰だ？

『近宮春巳君、落ち着いて、ベッドに戻りなさい。
私はこの北美総合病院の院長だ。』

「院長？だから何だってんだ。
そんなん、どうでもいいから、早くこっから出しやがれ。
何閉じ込めてんだよ、クソ野朗！」

『…それは出来ないのだよ。
とにかく、話を聞いてくれないかな。
いや、聞いてくれなければ困るのだ。