春の訪れ ~第一幕~

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 何やら不気味な院長に説得され、彼はしぶしぶ話を聞く事にした。 『近宮君、君は肺結核に侵されているのだよ。』 「肺結核~?んなもん、とっくの昔に無くなったんだろ? だったら慌てる事じゃねぇだろ。 結核が不治の病なんて言われてたのなんて、もう何十年も昔の話だし。」 『違うのだ、違うのだよ。 新たに流行の恐れのある結核菌は、以前のものとはうって変わって、従来のワクチンが効かないのだ。 結核は、今まさに不治の病として復活しつつあるのだ。』 「それって…どういう事だよ? 俺は、どうなっちまうんだ?」 『君には、山奥にある結核収容所・サナトリウムに行ってもらう。』 「……隔離…って事か…?」 『…まあ、そうとも言う。わかるね?これは仕方の無い事なのだよ。 君も知っているとは思うが、結核というのは空気でも感染してしまうのだ…。
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