プロローグ

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 彼は熱にうなされながら、忘れたい、忘れられない、色々な事を思い出していた。 これから先の未来に、地獄が待っていることも知らずに。  ところで、病院には行った方がいいんだろうか?  少しだけ迷った後、彼はその腕をめいっぱい伸ばして、探り当てた受話器を手に、一、一、九、とボタンを押した。  電話線を通して、しおれた男の声が聞こえた。 住所と名前と、それから症状と。 彼は苦しさに耐えながらなんとか話を済ませ、受話器を置いた。
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